会社員向け:クラウドファンディング支援の確定申告後、税金を納付する全手順と注意点
確定申告が終わったら、次は「納税」です
クラウドファンディング支援に関する確定申告、大変お疲れ様でした。無事に申告手続きを終えられた方も、これから申告書を提出される方もいらっしゃるかと思います。
確定申告は「税金の計算と報告」の手続きですが、計算した税額を実際に国や自治体に納める「納税」を忘れずに行う必要があります。特にクラウドファンディング支援による所得があり、それによって税金が増えた場合は、ご自身で納付の手続きが必要です。
この税務情報サイト「確定申告とクラウドファンディング支援」では、確定申告を初めて行う方や、税務手続きに不慣れな方に向けて、クラウドファンディング支援に関連する納税の方法や手順について、分かりやすく解説します。
確定申告で納める主な税金の種類
確定申告によって納める必要がある主な税金は、「所得税」と「復興特別所得税」です。これらは国税として、確定申告書に記載した税額を納付します。
また、確定申告で計算・申告した所得情報は、お住まいの市区町村にも連携され、翌年度の「住民税」の計算に反映されます。住民税は別途、市区町村から送付される納付書などに基づいて納めることになります。
この後の解説では、まず確定申告と同時に行う「所得税・復興特別所得税」の納付について詳しくご説明し、その後「住民税」について触れます。
所得税・復興特別所得税の主な納付方法
所得税と復興特別所得税の納付には、いくつかの方法があります。ご自身の都合に合わせて選択できますが、それぞれ手続きや期限が異なりますので注意が必要です。
主な納付方法は以下の通りです。
- 振替納税
- e-Taxによる電子納税
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付(PayPay、d払いなど)
- QRコードを利用したコンビニ納付
- 金融機関や税務署の窓口での現金納付
これらの方法について、それぞれの手順やメリット・デメリットを見ていきましょう。
1. 振替納税
振替納税は、事前に指定した銀行などの預貯金口座から、後日税金が自動的に引き落とされる方法です。
- 手続き:
- 税務署へ「所得税の確定申告書」と併せて「所得税の申告書を提出する方の振替納税に関する届出書」を提出します。
- e-Taxを利用している場合は、オンラインで手続きが可能です。
- メリット:
- 納付に行く手間が省けます。
- 通常の現金納付より納付期限が約1ヶ月後になるため、資金繰りに余裕が持てます。
- 手数料がかかりません。
- デメリット:
- 事前に手続きが必要です(原則、確定申告期限まで)。
- 預貯金残高が不足していると振替ができません。
- 納付期限: 毎年、確定申告期限の約1ヶ月後(具体的な期日は国税庁のウェブサイトなどで確認が必要です)。
確定申告期限と振替納税の期日を間違えないように注意しましょう。特に初めて利用する場合は、確定申告書提出と同時に届出書の提出を忘れないようにしてください。
2. e-Taxによる電子納税
e-Taxで確定申告を行った場合、そのままe-Tax上で電子納税をすることができます。
- 手続き:
- e-Taxソフト、e-Taxウェブサイト、または対応する会計ソフトなどから納税手続を行います。
- インターネットバンキングを利用するか、「ダイレクト納付」(e-Taxから即時または期日指定で預貯金口座から引き落とす方法)を選択できます。
- メリット:
- 自宅などからインターネット経由で納付できます。
- ダイレクト納付なら、振替納税のように期日指定が可能です(ただし、口座登録に時間がかかる場合があります)。
- デメリット:
- e-Taxの利用環境が必要です(マイナンバーカードとICカードリーダー、またはID・パスワード方式など)。
- ダイレクト納付の事前の口座登録に日数がかかる場合があります。
- 納付期限: 確定申告期限まで(ダイレクト納付で期日指定する場合は、その指定した期日)。
ダイレクト納付を利用する場合は、事前に税務署への届出とe-Taxでの口座登録が必要になります。余裕を持って手続きを進めましょう。
3. クレジットカード納付
「国税クレジットカードお支払いサイト」を利用して、クレジットカードで納付する方法です。
- 手続き:
- インターネットで「国税クレジットカードお支払いサイト」にアクセスします。
- 税金の種類、税額、利用者情報、クレジットカード情報などを入力して手続きを行います。
- メリット:
- 24時間いつでもインターネットで納付できます。
- ポイントが貯まる場合があります(カード会社による)。
- デメリット:
- 納付税額に応じた決済手数料がかかります。
- 納付できる金額に上限があります(カードの利用限度額やサイトの上限金額など)。
- 納付期限: 確定申告期限まで。
手数料がかかる点を理解した上で利用しましょう。また、決済手続きが完了した日をもって納付が完了したことになります。
4. スマホアプリ納付
PayPayやd払いなどのスマホ決済アプリを利用して納付する方法です。
- 手続き:
- 国税庁のウェブサイト「国税スマートフォン決済専用サイト」または対応アプリから手続きを行います。
- 納付用のQRコードを読み取るか、アプリ内で税額などを入力して納付します。
- メリット:
- 手軽にスマホで納付できます。
- 利用している決済サービスのポイント還元などがある場合があります。
- デメリット:
- 1回の納付税額に上限があります(通常30万円)。
- 利用できる税金の種類やアプリが限られています。
- 納付期限: 確定申告期限まで。
手軽ですが、納付金額の上限があるため、税額が大きい場合は別の方法を検討する必要があります。
5. QRコードを利用したコンビニ納付
自宅などで納付用のQRコードを作成し、コンビニエンスストアで現金で納付する方法です。
- 手続き:
- 国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」などで納付用QRコードを作成します。
- 作成したQRコードを印刷するかスマホに表示し、コンビニエンスストア(ローソン、ファミリーマート、ミニストップなど)のレジで提示して現金で支払います。
- メリット:
- 金融機関や税務署が閉まっている時間でも納付できます。
- 手数料がかかりません。
- デメリット:
- 納付できる金額に上限があります(30万円以下)。
- 対応している税金の種類が限られます。
- コンビニによっては一部取り扱っていない場合があります。
- 納付期限: 確定申告期限まで。
比較的手軽ですが、納付金額の上限と現金が必要な点に注意しましょう。
6. 金融機関や税務署の窓口での現金納付
最も基本的な納付方法で、納付書を使用して金融機関の窓口や税務署の窓口で現金で納める方法です。
- 手続き:
- 所轄の税務署から送付された納付書、または税務署や税務署のウェブサイトで入手できる納付書に必要事項を記入します。
- 納付書と現金を、お近くの金融機関(銀行、信用金庫、郵便局など)の窓口や税務署の窓口に持参して支払います。
- メリット:
- 特別な手続きやIT環境は不要です。
- 多額の税金でも納付できます。
- デメリット:
- 金融機関や税務署の窓口に行く必要があります。
- 窓口の受付時間内に手続きが必要です。
- 納付書がない場合は入手の手間がかかります。
- 納付期限: 確定申告期限まで。
窓口での納付は最も確実な方法の一つですが、窓口が混雑する場合もあるため、期限ぎりぎりにならないよう早めに手続きすることをおすすめします。納付書は税務署のウェブサイトからダウンロード・印刷することも可能です。
住民税の納付について
所得税の確定申告の内容は、市区町村へ連携され、翌年度の住民税が計算されます。会社員の方は、通常、住民税は給与から天引きされる「特別徴収」となります。
しかし、確定申告でクラウドファンディング支援による所得を申告した場合など、給与所得以外の所得がある場合は、住民税の一部または全部を別途ご自身で納付する「普通徴収」となることがあります。
- 納付方法:
- お住まいの市区町村から、例年5月〜6月頃に住民税の税額決定通知書と納付書が送付されます。
- 送付された納付書を使用して、金融機関やコンビニエンスストアなどで納付します。
- 納付時期:
- 普通徴収の場合、通常年4回(6月、8月、10月、翌年1月頃)に分けて納付します。
- 注意点:
- 住民税の計算や納付時期、方法については、お住まいの市区町村によって若干異なる場合があります。
- 送付される税額決定通知書をよく確認し、期日までに納付しましょう。
確定申告で住民税に関する事項(給与所得以外の所得の住民税を普通徴収にするかなど)を選択している場合は、その内容が住民税の納付方法に影響することがあります。
納税に関する注意点
- 納付期限を厳守する: 所得税の納付期限は、原則として確定申告の提出期限と同じです。期限を過ぎると、延滞税がかかる場合があります。振替納税を利用する場合は、振替日を忘れないようにしましょう。
- 納付方法ごとの上限や手数料を確認する: クレジットカード納付やコンビニ納付、スマホアプリ納付には金額の上限があったり、手数料がかかったりします。利用前に必ず確認してください。
- 領収書などを保管する: 納付が完了したことの証明として、金融機関で受け取る領収書や、オンライン納付の完了画面などを保管しておきましょう。
- 資金を準備しておく: 納税は現金で行うか、銀行口座からの引き落としで行うのが基本です。確定申告で税金が増える見込みがある場合は、早めに納税資金を準備しておきましょう。
まとめ:納税まで完了して確定申告は終了です
クラウドファンディング支援に関する所得を含めて確定申告を行った場合、計算された所得税・復興特別所得税を期日までに納付し、さらに後日通知される住民税も納付することで、一連の手続きが完了となります。
納税方法には様々な選択肢がありますので、ご自身の状況に合わせて最も利用しやすい方法を選びましょう。特に振替納税は、手続きに時間がかかるため、利用を検討する場合は早めの準備が必要です。
もし納税手続きに関して不安な点や不明な点があれば、税務署や税理士に相談することも可能です。
確定申告から納税まで、正確に手続きを進めることで、安心して納税義務を果たすことができます。