【画面で解説】クラウドファンディング支援の一時所得、国税庁サイト確定申告書等作成コーナーでの入力手順
はじめに
クラウドファンディングでプロジェクトを支援し、魅力的なリターンを受け取られた方もいらっしゃるかもしれません。受け取ったリターンが税務上「一時所得」に該当する場合、他の所得と合わせて確定申告が必要になることがあります。
特に、確定申告に慣れていない方にとって、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」での入力は複雑に感じられるかもしれません。この記事では、クラウドファンディング支援による一時所得を確定申告書等作成コーナーで申告する際の具体的な入力手順について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
クラウドファンディング支援による一時所得とは
クラウドファンディング支援で受け取ったリターンのうち、金額相当のリターン品ではなく、寄付型や、出資した金額以上の経済的価値を持つと判断されるリターン(例:特別な権利、一般的な市場価格を著しく超える価値の物品など)は、税務上「一時所得」に分類される場合があります。
一時所得の金額は、収入金額からその収入を得るために支出した金額(必要経費)を差し引き、さらに特別控除額(最高50万円)を差し引いて計算されます。
一時所得の金額 = 収入金額 - 必要経費 - 特別控除額(最高50万円)
この計算後の金額の2分の1が、給与所得などの他の所得と合算されて税額が計算されます。一時所得を含む所得の合計が確定申告の基準を超える場合、申告が必要となります。特に、会社員の方で給与以外の所得(一時所得を含む)の合計が年間20万円を超えるかどうかが一つの目安となります。
国税庁確定申告書等作成コーナーでの申告の流れ
確定申告書等作成コーナーを利用して申告書を作成する場合、大まかに以下の流れで進みます。
- 申告書の作成開始(e-Tax、印刷して提出など申告方法を選択)
- 提出に関する情報の入力(生年月日、氏名、マイナンバーなど)
- 収入金額・所得金額の入力(給与所得や一時所得など、各種所得を入力)
- 所得控除の入力(社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除など)
- 税額計算
- その他(税額控除、住民税等に関する事項など)
- 申告書等の確認・提出
クラウドファンディング支援による一時所得に関する情報は、主に「3. 収入金額・所得金額の入力」のステップで入力を行います。
具体的な一時所得の入力手順(確定申告書等作成コーナー)
ここでは、「収入金額・所得金額の入力」画面で一時所得を入力する具体的なステップを解説します。画面の構成は年度によって多少変更される可能性がありますが、入力する項目は概ね共通しています。
1. 「収入金額・所得金額の入力」画面へ進む
作成コーナーの案内に従って進み、「収入金額・所得金額の入力」の項目が表示されたら、「入力する」ボタンなどをクリックして、所得ごとの入力画面に進みます。
2. 一時所得の項目を選択する
所得の種類が一覧で表示される画面になります。ここで、「一時所得」の項目を探し、「入力する」ボタンなどをクリックします。
3. 一時所得に関する情報を入力する
一時所得の入力画面が表示されます。ここで、以下の情報を入力します。
- 一時所得の種類 「その他」などを選択します。
- 支払者の氏名・名称 リターンを提供したクラウドファンディングの主催者やプラットフォーム運営者などの名称を入力します。契約書やリターンに関する通知などに記載されている名称をご確認ください。
- 収入金額 受け取ったリターン品の経済的価値などを金額に換算したものを入力します。これが「収入金額」となります。リターン品の価値算定方法はケースによって判断が難しい場合があります。必要に応じて、プロジェクト内容や受け取ったリターンの性質を踏まえて慎重に判断してください。
- 必要経費 その一時所得を得るために直接かかった費用を入力します。クラウドファンディングの支援金額そのものが必ずしも必要経費となるわけではありません。一時所得を得るために「直接要した金額」のみが対象となります。例えば、一時所得となるリターンを受け取るために特別に発生した送料などが該当する可能性がありますが、判断は慎重に行う必要があります。一般的には、クラウドファンディング支援による一時所得の場合、必要経費がほとんど発生しないケースも多いでしょう。
- 所得の生じた場所 特に指定がなければ空欄、または「国内」などを選択します。
入力が完了したら、「入力内容の確認」や「次へ進む」といったボタンをクリックして、入力内容を確認し、次の画面へ進みます。
4. 入力内容の確認と訂正
入力した一時所得の情報が一覧で表示されます。金額に間違いがないか、再度確認してください。必要に応じて、「訂正」ボタンなどから修正することができます。
この画面で、入力した収入金額から必要経費を差し引いた金額が表示され、そこから一時所得の特別控除額50万円が差し引かれた後の「一時所得の金額(所得計算後の金額)」が表示されていることを確認してください。この金額の2分の1が、税金の計算に使われる一時所得の金額となります。計算結果が0円以下の場合、一時所得は発生していないことになります。
申告書の確認・提出
一時所得を含め、全ての収入や所得控除などの入力が終わると、税額が自動計算されます。計算結果を確認し、問題がなければ申告書を提出します。
作成コーナーで作成した申告書は、e-Taxで送信するか、印刷して郵送または税務署へ持参して提出することができます。
申告時の注意点
- 正確な金額の把握: 受け取ったリターンの正確な価値を把握することが重要です。判断に迷う場合は、税務署の相談窓口などに確認することをお勧めします。
- 必要書類の準備: 一時所得の内容を示す書類(クラウドファンディングの支援履歴、リターン内容に関する情報など)は、申告書への添付は不要な場合でも、税務調査等に備えて必ず保管しておいてください。
- 他の所得との合算: 会社員の方の場合、給与所得と、クラウドファンディング支援による一時所得を含む給与以外の所得の合計額で確定申告が必要かどうかの判断を行います。
- 個別の判断: 税務の判断は個々の状況によって異なります。この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談には応じかねます。ご自身の状況に合わせた正確な判断が必要な場合は、税務署や税理士にご相談ください。
まとめ
クラウドファンディング支援による一時所得を、国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告する手順について解説しました。画面の指示に沿って、収入金額、必要経費などを正確に入力することが重要です。初めての確定申告でご不安な場合でも、この記事の手順を参考に、落ち着いて入力作業を進めてみてください。
ご不明な点がある場合は、一人で抱え込まずに、税務署の相談窓口などを活用することも検討しましょう。正確な申告を行うことで、安心して確定申告を完了させることができます。