確定申告とクラウドファンディング支援

年末調整済みの会社員へ:国税庁サイトでクラウドファンディング支援を確定申告する具体的な入力ステップ

Tags: クラウドファンディング, 確定申告, 会社員, 国税庁, 作成コーナー, 入力方法, 寄付金控除, 一時所得

はじめに:年末調整済みの会社員とクラウドファンディング支援

会社員として年末調整は済ませているけれど、応援したいプロジェクトがあって初めてクラウドファンディングで支援したという方もいらっしゃるかと思います。クラウドファンディング支援が税金にどう影響するのか、そして確定申告が必要な場合にどう手続きすれば良いのか、不安を感じているかもしれません。

特に、普段経理や税務に馴染みがなく、確定申告と聞くと難しく感じてしまう方も多いのではないでしょうか。このサイトでは、そのような方に向けて、クラウドファンディング支援に関する確定申告の手続きを分かりやすく解説しています。

この記事では、すでに年末調整を終えている会社員の方が、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して、クラウドファンディング支援に関する情報を確定申告書に入力する具体的な手順について、ステップバイステップで解説します。

確定申告が必要になるケースをおさらい

まず、ご自身のクラウドファンディング支援が確定申告の対象となる可能性があるか、改めて確認しておきましょう。主なケースとしては以下の二つが考えられます。

  1. 寄付型クラウドファンディングで「寄付金控除」を受けたい場合: 特定の団体(税額控除の対象となるNPO法人や公益法人など)への寄付型クラウドファンディング支援は、要件を満たせば「寄付金控除」として所得税の控除を受けることができます。この控除を受けるためには、確定申告が必要です。
  2. 購入型などのリターンが「一時所得」に該当し、合計で一定額を超える場合: 購入型クラウドファンディング支援で受け取ったリターンが、実質的に経済的な利益とみなされ「一時所得」に該当する場合があります。この一時所得が、他の「一時所得」と合算して年間で50万円を超える場合に、原則として確定申告が必要となります。(ただし、一時所得には50万円の特別控除があるため、収入金額から必要経費を差し引いた金額が50万円以下であれば、一時所得として課税される金額は発生しません。また、会社員の場合、給与所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告が不要な場合がありますが、これは他の所得との合計で判断されます。詳しい判断基準については、別の記事や税務署にご確認ください。)

ご自身のケースで確定申告が必要かどうかの判断については、当サイトの他の記事もご参照ください。ここでは、上記のいずれかに該当し、国税庁の作成コーナーで入力を行う方を対象とします。

申告前に準備しておくべきこと

国税庁の確定申告書作成コーナーで入力を始める前に、以下のものを準備しておきましょう。

国税庁 確定申告書作成コーナーでの入力ステップ

ここでは、年末調整済みの会社員の方が、源泉徴収票の情報とクラウドファンディング支援に関する情報を入力する流れを解説します。

  1. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする ウェブブラウザで「国税庁 確定申告書等作成コーナー」と検索し、サイトにアクセスします。トップページから「作成開始」を選びます。

  2. 提出方法の選択 「e-Tax」または「書面で提出」を選択します。e-Taxで提出する場合は、マイナンバーカード方式かID・パスワード方式を選び、必要に応じて事前準備を行います。書面提出の場合は、入力後にPDFファイルを印刷して郵送または窓口に提出します。

  3. 申告書等の作成 「所得税」を選択します。

  4. 申告する年の選択 対象となる年を選びます。

  5. 利用者情報の入力 氏名、住所、生年月日などの基本情報を入力します。

  6. 所得・所得控除等に関する入力 ここから、源泉徴収票やクラウドファンディング支援の情報を入力していきます。

    年末調整済みの給与所得を入力する

    まずは、会社から受け取った源泉徴収票の内容を入力します。

    • 「給与所得」の項目を選択し、「入力する」ボタンなどをクリックします。
    • 年末調整済みの源泉徴収票の内容を、画面の案内に従って正確に入力していきます。氏名、支払い者の情報(会社名、所在地など)、収入金額、所得控除の額(社会保険料、生命保険料など)、源泉徴収税額などを、源泉徴収票の記載通りに入力します。

    クラウドファンディング支援に関する情報を入力する(ケース別)

    次に、クラウドファンディング支援に関する情報を入力します。ご自身のケースに合わせて項目を選択します。

    ケース1:寄付型クラウドファンディングで寄付金控除を受ける場合

    「寄付金控除」または関連する項目を探して選択します。

    • 「寄付金控除」の入力画面が表示されます。「特定寄附金」など、該当する区分を選択します。
    • 入力項目:
      • 寄附先の名称: 寄付をした団体やプロジェクト運営者の正式名称を入力します。(例: 特定非営利活動法人〇〇、公益社団法人△△など)
      • 寄附した年月日: 寄付金の受領証明書に記載された日付を入力します。
      • 寄附金の種類: 該当する種類を選択します。
      • 寄附金額: 実際に寄付した金額を入力します。
    • 複数の団体に寄付している場合は、一つずつ入力します。
    • 入力が完了したら、「入力内容の確認」などで進みます。
    • 後日、寄付金の受領証明書などの書類を税務署に提出または提示する必要がありますので、大切に保管しておきましょう。

    ケース2:購入型などのリターンが「一時所得」となる場合

    「一時所得」または関連する項目を探して選択します。

    • 「一時所得」の入力画面が表示されます。一時所得の種類を選択します。(例えば「その他の一時所得」など)
    • 入力項目:
      • 一時所得の種類ごとの「収入金額」: 受け取ったリターンの「経済的な価値」にあたる金額を入力します。リターンの価値判断は難しい場合がありますので、不明な点は税務署に確認することをお勧めします。当サイトの別の記事でもリターンの価値について解説していますのでご参照ください。
      • 収入を得るために支出した金額(「必要経費」): 支援した金額や、リターンを受け取るために直接かかった費用など、必要経費にあたる金額を入力します。こちらも経費として認められる範囲が限られるため、不明な点は税務署に確認してください。
      • 所得の生じた場所または法人等の名称: 支援したクラウドファンディングサイト名やプロジェクト名などを入力します。
    • 一時所得は、収入金額から必要経費を差し引いた後、特別控除額50万円を差し引いた金額の2分の1が課税対象となります。入力画面で金額を入力すれば、作成コーナーが自動で計算を行います。
    • 複数のクラウドファンディング支援で一時所得がある場合は、それぞれ入力するか、種類ごとにまとめて入力します。(詳細は作成コーナーの案内に従ってください。)
    • 入力が完了したら、「入力内容の確認」などで進みます。
  7. 所得控除等の入力 医療費控除や生命保険料控除(年末調整で控除しきれなかった場合など)といった、他の所得控除がある場合はここに入力します。

  8. 税額の計算 入力した所得や控除の情報に基づいて、納める税額または還付される税額が自動計算されます。計算結果を確認します。

  9. 住民税等に関する事項の入力 住民税に関する事項を入力します。

  10. 入力データの保存・送信または印刷 入力したデータを保存することができます。e-Taxで提出する場合は、電子署名を行い、そのまま送信します。書面提出の場合は、申告書をPDFファイルで出力し、自宅やコンビニなどで印刷します。

  11. 提出 e-Taxで送信した場合は提出完了です。書面で提出する場合は、印刷した申告書と添付書類を税務署に郵送するか、税務署の窓口に持参して提出します。添付書類台紙に必要書類を貼り付けて提出します。

申告時の注意点

まとめ

年末調整を終えた会社員の方が、クラウドファンディング支援に関する確定申告を国税庁の確定申告書作成コーナーで行う際の具体的な入力手順を解説しました。

ご自身のクラウドファンディング支援が寄付金控除の対象となるのか、一時所得となるのかをまず判断し、必要な書類を準備した上で、作成コーナーの案内に従って落ち着いて入力作業を進めてください。

最初は難しく感じるかもしれませんが、一つずつステップを踏んでいけば、正確な申告を行うことができます。この記事が、皆様の確定申告の不安解消の一助となれば幸いです。