確定申告とクラウドファンディング支援

クラウドファンディング支援を確定申告!どこに何を書く?ケース別の申告書記入ガイド

Tags: クラウドファンディング, 確定申告, 寄付金控除, 一時所得, 記入方法

はじめに

「クラウドファンディングでプロジェクトを応援したけれど、確定申告が必要なのかな?」「申告が必要な場合、税務署の書類やe-Taxでどこに書けばいいのか全く分からない...」

初めて確定申告をする方や、確定申告に慣れていない方にとって、普段聞き慣れない税金の話や手続きはとても難しく感じられるかもしれません。特に、比較的新しい資金調達の仕組みであるクラウドファンディングの支援が、ご自身の税金にどう関わるのか、申告書にどう記入すれば良いのか、不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。

このサイトでは、クラウドファンディング支援と確定申告の関係について、初心者の方にも分かりやすく解説しています。この記事では、「クラウドファンディング支援に関する情報を、確定申告書のどこに、どのように記入すれば良いか」という点に焦点を当て、具体的な記入箇所や必要な情報について、ケース別に解説します。

この記事を読むことで、クラウドファンディング支援がご自身の確定申告にどう影響するかを理解し、申告書作成の具体的なステップを進めることができるようになります。

クラウドファンディング支援の税務上の扱いをおさらい

クラウドファンディング支援が確定申告とどう関わるかを理解するためには、まずその税務上の扱いを知っておくことが重要です。クラウドファンディングにはいくつかのタイプがありますが、個人が支援者となる場合、主に以下の2つのケースが確定申告に関わってくる可能性があります。

会社員の方の場合、この「寄付金控除」を受ける場合と、「一時所得」が発生する場合が、主に確定申告に関わる可能性があります。

確定申告書の全体像とクラウドファンディング関連の記入箇所

確定申告書は、1年間のすべての所得(給与所得、事業所得、一時所得など)や所得控除(社会保険料控除、生命保険料控除、寄付金控除など)を記載し、納めるべき所得税額を計算するための書類です。

現在、所得税の確定申告書は主に「所得税確定申告書」という名称で統一されています(令和4年分以降)。この申告書には、収入の種類ごとに所得金額を計算する欄や、各種所得控除を記載する欄など、様々な項目があります。

クラウドファンディング支援に関する情報は、主に以下の箇所に関係してきます。

ご自身のクラウドファンディング支援がどちらのケースに当てはまるかを確認し、該当する箇所の記入を進めることになります。

【ケース別】確定申告書の具体的な記入方法

それでは、それぞれのケースについて、確定申告書(所得税確定申告書)の具体的な記入方法を見ていきましょう。

ケース1:寄付型クラウドファンディング支援で寄付金控除を受ける場合

特定のクラウドファンディングプロジェクトへの支援が、税法上の「寄付金」として認められ、寄付金控除の対象となる場合の手順です。この場合、プロジェクトの実施団体が適格な団体(国や地方公共団体、特定の公益法人など)であることが必要です。支援時に発行される「寄付金受領証明書」が、申告の際に必要になります。

  1. 「所得から差し引かれる金額(所得控除)」の「寄付金控除」欄を探す 確定申告書の二面に、所得控除に関する項目が並んでいます。「寄付金控除」という欄を見つけてください。
  2. 寄付金控除額を計算する 寄付金控除額は、以下のいずれか少ない方の金額です。
    • その年に支出した特定寄付金の額の合計額
    • その年の総所得金額等の40%相当額 (所得税額から一定額を差し引く「税額控除」となる特例寄付金の場合もありますが、ここでは一般的な「所得控除」の場合を説明します。) 計算した控除額を「寄付金控除」欄に記入します。
  3. 寄付に関する情報を記載する 申告書の特定の箇所(多くの場合、二面や裏面などにある寄付金控除に関する明細欄)に、支援した団体名、プロジェクト名、支出した寄付金額、寄付年月日などを記載します。これは、お手元にある「寄付金受領証明書」に記載されている情報を転記することになります。
  4. 「寄付金受領証明書」を提出または提示する e-Taxで申告する場合は、証明書のデータを添付して送信します。郵送や窓口で提出する場合は、証明書を申告書に添付して提出します。

ポイント: 寄付金控除を受けるためには、必ず「寄付金受領証明書」が必要です。支援したプロジェクトの実施団体から送られてくる証明書を大切に保管しておきましょう。

ケース2:購入型クラウドファンディングのリターンが一時所得に該当する場合

購入型クラウドファンディングで、受け取ったリターン(返礼品)の経済的な価値が、支払った支援金額に対して著しく大きいと判断される場合に、一時所得として課税される可能性があります。一時所得には年間50万円の特別控除があるため、他の臨時収入と合わせて年間50万円を超えない限り、税金はかかりません。

  1. 一時所得の金額を計算する 一時所得の金額は以下の式で計算します。 (リターンの経済的価値の合計額) - (そのリターンを得るために支出した金額、通常は支援金額) - (一時所得の特別控除額 50万円) 年間の一時所得の合計額が50万円以下の場合、この計算結果はゼロまたはマイナスとなり、税金はかかりません。計算結果がプラスになる場合、その金額の1/2が課税対象となります。
    • リターンの経済的価値:リターンが物品であればその市場価格、サービスであれば同等のサービス価格などを参考に判断します。プロジェクトページのリターン説明などを参考にしましょう。
    • 支出した金額:そのリターンを得るために支払ったクラウドファンディングの支援金額です。
    • 一時所得の特別控除額:年間50万円です。複数のクラウドファンディング支援によるリターンや、保険の満期金など、他の一時所得がある場合はそれらを合算した金額から一度だけ控除できます。
  2. 「所得金額等」の「一時所得」欄を探す 申告書の表面に、所得の種類ごとに金額を記入する欄があります。「一時所得」という欄を見つけてください。
  3. 計算した課税対象額を記入する 一時所得の計算結果がプラスになった場合、その金額の1/2の金額を「一時所得」の欄に記入します。計算結果がゼロまたはマイナスの場合は、記入は不要です(確定申告自体が必要なければ申告も不要です)。
  4. 一時所得に関する情報を記載する 申告書の特定の箇所(多くの場合、二面や裏面などにある一時所得に関する明細欄)に、一時所得の種類(例:「クラウドファンディングのリターン」)、所得の生じた場所(リターンを提供した事業者名など)、収入金額(リターンの経済的価値)、必要経費(支援金額)などを記載します。これはご自身で確認した情報(プロジェクトページや支援時のメールなど)をもとに記載します。

ポイント: 一時所得は年間50万円の特別控除額が大きいので、課税対象となるケースはそれほど多くありません。ご自身のリターンの価値や他の臨時収入を確認し、慎重に判断しましょう。リターンの価値の判断が難しい場合もあります。

記入に必要な書類や情報の確認

クラウドファンディング支援に関する確定申告書の記入にあたっては、以下の書類や情報を準備しておくとスムーズです。

申告書の作成・提出方法

確定申告書の記入が完了したら、税務署に提出する必要があります。主に以下の方法があります。

ご自身のやりやすい方法で提出してください。e-Taxは自宅から手続きが完結するため、会社員の方には利用しやすい方法と言えるでしょう。

まとめ

クラウドファンディング支援が確定申告に関わる場合、主に「寄付金控除」または「一時所得」として申告書に記入することになります。

初めての確定申告で不安があるかもしれませんが、一つずつ情報を整理し、必要な箇所に正確に記入することで手続きを進めることができます。この記事が、クラウドファンディング支援に関する確定申告書の記入を理解する一助となれば幸いです。

ご自身のケースで判断に迷う場合や、記載方法に不安がある場合は、税務署の相談窓口や税理士にご相談ください。