これで迷わない!会社員がクラウドファンディング支援を申告する確定申告書の種類と書き方
確定申告の準備を始めるにあたり、「どの申告書を使えば良いのだろう?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。特に会社員の方が、年末調整だけでは完結しないクラウドファンディング支援に関する申告をする場合、確定申告書の選択は最初のステップとなります。
この記事では、会社員の方がクラウドファンディング支援に関連する確定申告を行う際に使用する確定申告書の種類(AまたはB)と、その選び方、そして基本的な記入箇所について分かりやすく解説します。
確定申告書には「A」と「B」がある?
確定申告書には主に「確定申告書A」と「確定申告書B」の2種類があります。かつては「A」が簡易的な申告書、「B」がより一般的な申告書として使われていましたが、税制改正により名称や様式が変更され、現在は「確定申告書第一表・第二表」という様式に統一されています。
以前の区分で言うと、 * 確定申告書A:給与所得や公的年金等に係る雑所得など、比較的シンプルな所得がある方が使用していました。 * 確定申告書B:事業所得や不動産所得など、所得の種類に関わらず誰でも使用できる様式でした。
現在の統一様式では、これらの区分がなくなりましたが、ここではかつての「A」「B」の考え方で解説を進める方が、初心者の方には理解しやすい場合があるため、便宜的にこの表現を用いることがあります。国税庁のサイトなどで様式を探す際は「確定申告書」と検索してください。
会社員が確定申告をするのはどんな時?
会社員の方は通常、勤務先が行う年末調整によって所得税の計算・精算が完了します。しかし、以下のような場合にはご自身で確定申告を行う必要があります。
- 給与収入が2,000万円を超える場合
- 給与所得・退職所得以外の所得(例えば副業の所得やクラウドファンディング支援のリターンによる一時所得など)の合計額が20万円を超える場合
- 医療費控除やふるさと納税による寄付金控除など、年末調整では受けられない控除を適用したい場合(クラウドファンディングの寄付型支援による寄付金控除などもこれに該当します)
- 2か所以上から給与を受け取っている場合 など
クラウドファンディング支援の場合、リターンの内容によっては「一時所得」に該当し、その合計が他の給与以外の所得と合わせて20万円を超える場合に申告が必要となることがあります。また、寄付型クラウドファンディングへの支援は「寄付金控除」の対象となる場合があり、この控除を受けるためには確定申告が必要です。
クラウドファンディング支援の場合、申告書はAかBか?(現在の様式ではどう書く?)
現在、確定申告書の様式は「確定申告書第一表・第二表」に統一されています。したがって、会社員の方がクラウドファンディング支援に関する内容を申告する場合も、この統一様式を使用します。
重要なポイントは、クラウドファンディング支援に関する内容を「どの所得の種類として申告するか」「どのような控除を適用するか」によって、申告書のどこに記入するかが変わるという点です。
1. リターンが「一時所得」に該当する場合
購入型クラウドファンディングで、支援額に対して明らかに経済的な価値の高いリターンを受け取った場合など、そのリターンが一時所得として課税対象となることがあります。
- 記入箇所: 確定申告書第一表の「一時所得」欄に収入金額や必要経費などを記入し、所得金額を計算します。具体的な計算方法や記入方法については、別途「一時所得」に関する記事をご参照ください。
2. 寄付型クラウドファンディング支援で「寄付金控除」を適用する場合
認定NPO法人や公益社団法人など、税法上の寄付金控除の対象となる団体への寄付型クラウドファンディング支援は、寄付金控除の対象となります。
- 記入箇所: 確定申告書第一表の「寄付金控除」欄に、控除の対象となる寄付金額を記入します。また、第二表の「寄付金控除に関する事項」欄に、寄付先の名称や寄付金額などを詳細に記入する必要があります。
会社員の方の申告書記入の流れ
現在の統一様式では、まず第一表・第二表を取得します(国税庁ウェブサイトからダウンロード、税務署で取得など)。そして、ご自身の状況に合わせて必要な情報を記入していきます。
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第一表:
- 上部に氏名、住所、マイナンバーなどを記入します。
- 「収入金額等」欄に、勤務先の源泉徴収票を見ながら給与所得の金額を記入します。
- クラウドファンディング支援のリターンが一時所得に該当する場合は、「一時所得」欄に金額を記入します。
- 「所得から差し引かれる金額」(所得控除)欄で、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除など、年末調整で控除しきれなかったものや、ご自身で追加する控除(例えば、寄付型CF支援による「寄付金控除」や医療費控除など)の金額を記入します。
- これらの情報をもとに、所得金額や税金の額などが自動的に(または計算して)算出・記入されます。
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第二表:
- 氏名、住所などを記入します。
- 第一表で記入した所得控除(社会保険料控除、生命保険料控除、寄付金控除など)の詳細を記入します。特に寄付金控除については、寄付先の名称、所在地、寄付した年月日、寄付金額などを記載します。
- その他、住民税に関する事項などを記入します。
まとめ:会社員の方の確定申告書選び(統一様式での対応)
会社員の方がクラウドファンディング支援に関して確定申告を行う場合、使用する様式は「確定申告書第一表・第二表」です。
- 一時所得として申告する場合は、第一表の「一時所得」欄に記入します。
- 寄付金控除を受ける場合は、第一表の「寄付金控除」欄と第二表の「寄付金控除に関する事項」欄に記入します。
- 給与所得については、勤務先からの源泉徴収票を基に第一表の「給与所得」欄に記入します。
ご自身の状況に応じて、これらの該当する欄に正しく記入を進めていくことになります。確定申告書の作成は、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すると、画面の案内に従って入力するだけで自動計算してくれるため、書類のどこに何を書くか迷いにくく便利です。
確定申告は複雑に感じられるかもしれませんが、一つずつ手順を確認しながら進めれば、どなたでも行うことができます。この情報が、あなたの確定申告の第一歩を踏み出す助けとなれば幸いです。